(見出しの日付は元記事の投稿日)
2021年8月22日
前回からの続き。
完成したハトメ基板とプリント基板にパーツを実装するところから再開。
パーツ実装
まずはメインのハトメ基板から。
プリントアウトしたレイアウト図を見ながらパーツを載せていきます。
配置場所や極性を間違えないようにするのは当然として、パーツに書かれた定数が読みやすくなるように向きも考えて並べます。
レイアウトを考えている時にはPCの画面や紙の上でしか存在しなかった基板。
それが目の前で現実となっていくのがワクワクします。
はんだ付けをしてメイン基板が完成。
抵抗にしてもコンデンサにしても普段使い慣れている物とは形状も大きさも違うせいか、基板全体がかっこ良く見えてきてテンションが上がります。
なんかアキシャルリードっていいですよね。
次はプリント基板にパーツをはんだ付け。
右側が両波4倍圧整流回路 + 定電圧回路の基板。
撚り合わせた線のところにヒーター巻線の交流6.3Vを入力し、右端の赤と青の線から正負15Vぴったりで出力するのを確認しました。
左側はC電源のバイアス基板で、4倍圧整流回路の直後から引っ張ってきた -17.6Vを分圧します。
半固定抵抗で -9.8Vから -15.1Vまで調整できるのを確認しました。
2本のパワー管それぞれを個別に調整できるように2系統用意しています。
バイアス基板をシャーシに取り付けるとこんな感じになります。
シャーシの外からドライバーでバイアス調整できるようにしました。
こちらはインプットジャックとゲインポットの基板。
いくつかのパーツが空中配線になるため、シャーシに固定した状態ではんだ付け作業を行いました。
真空管のグリッドへ繋がる線にはシールド線を使用しています。
ポット周りの配線
前の記事で触れたように、再利用するポットの端子が基板直付けタイプなので、ユニバーサル基板を使って配線していきます。
トーン回路のパーツもこの基板に載せます。
ポット同士の間隔をシャーシに合わせるため、はんだ付け作業はシャーシに取り付けた状態で行う必要があります。
しかし、シャーシの内側では狭すぎて作業が困難になるため、大半の作業はシャーシの外側を使って行いました。
これでポット周りの配線終了。
結構ごちゃごちゃしています。
あれもこれもと欲張って、複数のスイッチが必要な回路にしたことをちょっと後悔。
これで必要なピースが全て出揃いました。
いざシャーシへ実装。
と、その前に。
ラベル作り
アンプの中身が変わったことで、シャーシに記された文字と実際の役割が違っている箇所がいくつか出てきました。
使う本人が分かっていればそのままでも問題ないのですが、いちおう修正することにします。
色とフォントが似た感じになるようにラベルをデザインして印刷。
手元にあったダイソーのシール用紙を使用しました。
ラベル用フィルムも持っていたのですが、残念ながら透明の物のみ。
今回は白抜き文字にするため、白地の物を使うしかありませんでした。
自作エフェクターのラベルを作るときとか「白インクを使える家庭用プリンタがあればいいのに」と思うことがたまにあります。
カットしたラベルを貼り付け。
紙のラベルシールが滲んだりボロボロに剥がれたりしないように、透明のラベルフィルムを上から貼り付けました。
微妙な傾き、中心のズレ、段差の気泡が目立つなど、なんとも手作り感あふれる仕上がりになりました。
耐水性・耐候性のある白地のラベルフィルムも売っているようですし、機会があればそれで作ったラベルに貼り替えてみたいです。
2021年8月29日
完成した基板、配線を済ませたポットやジャック、真空管やトランスなどその他のパーツ、これらをシャーシに組み込んでお互いを配線していきます。
ヒーター配線
まずは真空管ソケットをシャーシに取り付け、ヒーターの配線から。
これが簡単そうに見えて大苦戦。
ソケットの端子の穴に対して線材が太すぎました。
真空管が小型のMT管でソケットも小型。
それに対して線材はAWG18と太く、しかも撚り線。
思うように端子の穴を通ってくれません。
1本通すだけでも大変なのに、1つの端子に2本となるともうお手上げ状態。
「ここは単線にしておいたほうがよかったかな」と少しばかりの後悔をしつつ、意地で全ての配線をやり遂げました。
ここまで配線を終えたところで導通をチェック。
問題なし。
トランスに繋いで各ソケットに6.3Vが来ているかをチェック。
これも問題なし。
ということで、ソケットに真空管を挿してヒーターの点火チェック。
真空管にほんのりと小さな明かりが灯ります。
意味もなく部屋を暗くして眺めたくなる光。
この優しくてあたたかみのある明かりが、ヒーター配線の苦労を忘れさせてくれました。
シャーシへの組み込み
真空管の明かりに活力をもらい、完成へ向けて一気にラストスパート。
電源周りの配線。
ここまで終えたところで、いったん電圧のチェック。
B電源、C電源、リバーブ&エフェクトループ基板用の正負15V、全て問題なし。
メイン基板をシャーシに固定し、真空管ソケットやポットなどと配線。
Cub Headのシャーシと自作シャーシを組み合わせ、ポットやジャックなどを取り付け。
まだ終えていなかった残りの配線をはんだ付けしたらひとまず完成です。
左半分
右半分
全体像
自分で言うのもなんですが、カッコイイ。
動作確認もしないうちから、見た目だけで満足してしまいます。
ハンドワイヤードってなぜかカッコよく見えてくる不思議な魅力がありますよね。
初の音出し
すべての配線とシャーシへの取り付けが終わり、最終チェックへ。
その前にこれを用意。
左にあるのはコンデンサの放電をするための抵抗で、放電の目安となるLEDを付けています。
極性を気にせず使えるように、2つのLEDを互い違いにしました。
電気の流れる方向で赤か緑のどちらかが点灯します。
右のはセメント抵抗を複数組み合わせて作ったダミーロード。
動作確認時にスピーカーの代わりに繋いで使います。
50Ωが3つと47Ωが3つ、全てを並列に繋いで約8Ωの抵抗になります。
10Wの抵抗を6つ使っているので定格は60W。
出力15Wのアンプの動作確認にはこれで十分。
スピーカーアウトにダミーロードを接続し、期待と緊張と不安がごちゃまぜの中での動作確認。
エフェクター製作では経験したことのない数百ボルトの高電圧、やっぱり怖い。
コンデンサが破裂する、抵抗が焼き切れる、トランスから煙が上がる、などといった悪いイメージが次々と頭に浮かんでくる中でビクビクしながらスイッチオン。
見た目、におい、異音など、おかしな点がないか数分かけて様子を見ます。
ここまでは何の問題もなく、少しホッとしつつ要所要所の電圧を測定。
パワー管のプレート電圧が327Vと高めなのが気になるくらいで、他はほぼ想定内の数値に収まっていました。
いったん電源を切り、一息ついてからダミーロードをスピーカーにチェンジ。
いよいよ音出しです。
ひとまずゲインを2にしてボリュームを少しずつアップ。
音が出た。
しかもいい音。
チューブアンプらしく、わずかにコンプレッションのかかった張りのある心地良いクリーントーンです。
音はかなり大きめで、自宅ではボリューム1.5くらいで限界って感じ。
なにはともあれ、「音がなる」という難関をクリア。
あまりに嬉しくて、初鳴らしの時はそのまま1時間くらい弾いてしまいました。
2021年9月5日
一応の完成を見た自作ギターアンプ。
最後の仕事はキャビネットへの組み込みです。
排熱対策
Cub Headのオリジナルのシャーシでは、真空管がキャビネットの背面近くに配置されていました。
背面は広く開放されていて空気が入れ替わりやすく、熱がこもることはなさそうです。
その一方、今回自作したシャーシでは真空管がフロントグリルの近くに配置されています。
つまり、背面が開いた箱としてキャビネットを捉えた場合、真空管がかなり奥まった位置にあるということ。
このままでは熱がこもってしまうため、何らかの排熱対策を講じる必要があります。
「Cub Headのキャビネットって前面に大きな開口部があるじゃん。グリルクロス張りになっていて通気性がありそうだし、そこから熱が逃げていくんじゃないの?」
と、お思いの方もいるかも知れません。
実は、このグリルクロスはダミーなんです。
裏側から見ると通気性皆無だということがよく分かります。
ただの板です。
12mmくらいの厚さのMDF板にグリルクロスを被せてタッカーで留めてあるだけ。
排熱用ではなく、おそらくデザインのアクセントとして採用された物なのでしょう。
思い返せば、このルックスが購入を決めたひとつのきっかけでもありました。
このパネルを加工して、風通しの良いフロントグリルを作ります。
タッカーをすべて外し、グリルクロスとMDF板とに分けます。
グリルクロスは麻紐か紙紐のような素材で編まれています。
見た目は好きなのですが、熱への耐性がどれくらいあるか不明なため、今回は使用を見送ることにしました。
MDF板に穴開け。
キャビネット前面の開口部と同じ形にします。
茶色い切り口が目立つのを隠すため、ダイソーの水性ペイントで黒く塗り直しました。
丁度いいサイズにカットしたアルミエキスパンドをタッカーで留めます。
このアルミエキスパンドを探すのに苦労しました。
頭の中に「こんな感じのヤツ」っていうイメージがあったものの、それに相応しいワードが出てこなくて悪戦苦闘。
メッシュ・ネット・パンチングメタル・網・格子、どれで検索してもイメージとは違う物ばかり。
画像検索の過程でなんとかエキスパンドメタルというワードに辿り着いたものの、今度は車用の大きな物ばかりがヒット。
それらの中を掻い潜り、やっとの思いで見つけたのがアルインコのアルミエキスパンドという商品でした。
注文してから品物が届くまでは不安でしたが、イメージぴったりの物が届いて満足しています。
これでフロントグリルが完成。
完成
いよいよ最終段階。
キャビネットの前面にフロントグリルを取り付け、アンプを積んだシャーシをキャビネットに固定したら完成です。
クランチトーンが似合いそうなCub Headのルックスに対して、こちらはもっと歪んだ音が似合いそうになりました。
中の真空管が透けて見えるのがまたいい感じ。
背面
電源スイッチを背面に移動し、元々あった電源スイッチはスタンバイスイッチに変更。
電源コードを着脱式にするため、IECインレットを取り付け。
ヒューズホルダーはシャーシの外からヒューズ交換ができるタイプにしています。
背面から中を見るとトランスの存在感が際立っています。
Cub Headの故障の原因がトランスのレイヤーショートだったこともあるせいか、トランスが大きいと安心感があります。
部屋を暗くして鳴らすとさらにいい雰囲気に。
この明かりを眺めながらなら何時間でも弾いていられます。
問題点
Cub Headの故障に端を発したチューブアンプ製作初挑戦。
なんとか無事に完成させることができました。
見た目もいい、音も好き。
ということで概ね満足はしているのですが、問題点があります。
出力が大きすぎるんです。
パワーアンプ部はEL84のプッシュプル。
Cub HeadやBlues Juniorの定数を参考にしていて、出力は15Wを想定しています。
ところが明らかに音が大きい。
Cub Headで15W設定(Cub Headは1Wと15Wの切り替えができます)だと、Gain1.5でVolume3くらいが自宅で鳴らせる限界といった感じでした。
ところが、自作アンプではGain1.5ならVolumeが1を超えたくらいで限界になってしまいます。
これは耳で聞いた感覚的な目安ですが、これとは別に目で確認できる目安も一応あります。
それはキャビネットシミュレーターのPGA-04。
スピーカーに繋いだ場合、自宅で鳴らせる音量には限界があるので、アンプをしっかりドライブさせたい時はPGA-04に繋いでライン出力した音をヘッドホンかモニタースピーカーで聞いていました。
PGA-04には120Wまでの入力に耐えられるロードボックスが付いていて、15W程度のアンプならフルテンでも余裕ありあり。
実際、PGA-04を使う時はいつもCub Headをフルテンにして弾いていました。
そのロードボックスにどれくらいの入力があるかの目安がLEDで確認できるようになっています。
Cub Headをフルテンにした場合だと、普通に単音で弾いたら3Wが点灯。
コードストロークで思いっきり掻き鳴らしたら10Wが点いたり消えたり。
だいたいそんな感じでした。
これを15Wのアンプの目安とします。
自作アンプだとVolume3くらいで10Wが点きっぱなし。
Volume5にすると、軽く弦をはじいただけで30Wが一瞬点灯。
そのままコードを鳴らそうものなら30Wがしっかり点灯し、数秒でB電源のヒューズが飛びます。
Volume5程度で完全に出力オーバー。フルテンなんて到底無理。
また、Gainを0にした状態でVolumeを上げていくと、5を超えた辺りからハムノイズが出るようになります。
回路定数が間違っているのか、可聴範囲外で発振が起きているのか、いずれにしても想定外に出力が大きくなっていることは確かです。
Cub Headのパーツの再利用にこだわりすぎて、回路が複雑になったり配線の引き回しが長くなったりしたところもあるので、この辺りも見直す必要がありそうです。
初めての挑戦なんだから、既存の回路をそのままコピーするのが無難だったかもしれません。
もう完成してから4ヶ月ほどが経っています。
自宅練習に丁度いい音量(Gain1.5・Volume1くらい)でスピーカーを鳴らすぶんには気持ちいいクリーントーンが出るので、ずっとそのセッティングで弾いています。
歪みがほしい時はエフェクターで。
基本的に家でしか使わないんだからこのままでもいいかな、という思いもありつつ、やっぱりちゃんと鳴らせるアンプに仕上げたいという思いもあり。
これをどうするか、いろいろ考えています。
それではまた。






























