予告したとおり、前回のお話の続きです。
前回の記事では、数年前に作ったLandgraff DODのコピー(以下旧版)についてあれやこれやと語っています。

TS系オーバードライブを作る(Landgraff DOD編)
以前から作りたいと思っていたTS系のオーバードライブを作りました。 一時期は自作エフェクターの定番みたいになっていたLandgraff Dynamic Over Drive(以下DOD)のコピーです。 使用するケースはハモンドの1550Bです...
結構気に入ってずっと使っていて、そのなかで気になる点がちらほらと。
それらを改善すべく新たに作り直すことにしました。
改善点を探る
旧版を使っていて気になった点を挙げていくことで、リメイクへ向けた改善点を探ります。
クリッパーは2種類あればいい
旧版は6種類のクリッパーを切り替えられるようにしていました。
それぞれの特徴をつかむまではクリッパーの違いを楽しめていましたが、長く使っているうちに選ぶものが固定されるようになりました。
結局、気に入ったものしか使わなくなるんです。
僕の場合、ほとんど2N7000+BAT41一択の状態。
それ以外ではLEDと1N914をたまに使うくらい。
わざわざ別基板を用意してまでクリッパーの選択肢を増やすこともない、という結論に至りました。
ユニバーサル基板だとパーツ交換が難しい
旧版はユニバーサル基板を使っていました。
パーツの足をそのまま配線にしているため、いざパーツを交換したいと思ってもかなり面倒なことになります。
ピンソケットを介して取り付けたオペアンプとトランジスタはいいとして、それ以外のパーツで苦労しました。
初めから音が決まっていればパーツを入れ替える必要もないのですが、自作となるとやっぱりいろいろ試してみたくなるものです。
簡単にパーツ交換ができるように、次はプリント基板を使うことにします。
その他
- 長く使っていると無塗装ケースのくすみが気になってくる。
- トーンが扱いづらい(4時くらいまであまり変化がなく、そこを過ぎると一気に音が変わる)
以上を踏まえたうえで作業に取り掛かります。
ケース塗装
まずはネズミ色にくすんだケースをきれいリメイクします。
数年間お世話になった旧版に感謝しつつ、基板や部品を取り外していきます。
ケースだけにしたら塗装作業スタート。
- 水研ぎペーパーで研磨
- メタルプライマーを吹く x2回
- 白いラッカーを吹く x5回
- ラベルフィルムを貼る
- クリアーラッカーを吹く x2回
白く塗り終えたところ。
インクジェットプリンタで印刷する透明フィルムタイプのラベル用紙を使っています。
デザインはLibreOfficeのDrawで行いました。
ラベルを貼り、クリアーを吹いて作業終了。
離れていれば気になりませんが、近くで見ると所々に気泡が入っているのが分かります。
気泡を消すために強くこすったら印刷が落ちかけてしまった(GAINの下)ので、気泡を完全に消すことは諦めました。
レイアウト
クリッパーもメイン基板に載せることにしたため、レイアウトの見直し。
旧版のレイアウトをベースにして調整していきました。
完成したレイアウトがこちら。
クリッパーが基板に載ったこともあり、旧版よりもひとまわり大きく(14x18穴 から 17x19穴 に)なりました。
採用したクリッパーは2N7000+BAT41(非対称)と3mm赤色LED(対称)です。
前者は旧版で最も気に入っていたもの。
後者は1N914(対称)とどっちにするか悩んだ末、スペースの都合でこちらを選択しました。
旧版のトーンが扱いづらかったので、ポットの値を25Kから20Kに変更。
横幅が広くなるので、トグルスイッチとの干渉も考慮してパーツを配置。
基板右上周辺に高さのあるパーツを置かないようにしました。
プリント基板作り
レイアウトが決まったら、次はエッチング。
トレース図
レイアウトからトレースだけを抜き出し、すべての色を黒に変更。
角がなめらかなほうが好きなので、曲線のトレースツールを多用して清書。
DIYLCがバージョン3になって以降、このあたりの自由度が飛躍的に向上してとても使いやすくなっています。(現在はバージョン4.22を使用)
清書が済んだら、pngとしてエクスポート。
DIYLCからエクスポートした画像は300dpiで印刷すると等倍になります。
トレース図の印刷と転写
エクスポートしたトレース図をレーザープリンタで印刷。
トナー転写の成功率を上げるため、普通紙、クッキングシート、シールの台紙など、過去にはいろいろな紙に印刷して試行錯誤しました。
写真用の光沢紙を使うようになってから安定して成功するようになり、現在はこれ一択です。
生基板の上に印刷したトレース図を載せ、ずれないようにマスキングテープで固定してからアイロンで熱を加えてトナーを転写。
その際、濡れタオルを間に挟んでアイロンをかけています。
そうすると紙が蒸れてトナーがうまく剥がれやすくなるみたいです。
右が転写後の基板で、左は光沢紙に印刷したトレース図(転写前)です。
プリント基板作りの過程でいちばん失敗しやすいのがトナー転写だと思います。
転写がきれいにできれば、九割方成功したようなもの。
クエン酸エッチング
エッチングは塩とクエン酸とオキシドールを使ったお手軽な方法で行います。
トナー転写済みの基板とエッチング液をチャック付きポリ袋の中に入れて口をしっかり閉じ、お湯を張った洗面器に投入。
40℃くらいの温度をキープすると化学反応が起きやすくなるみたいです。
銅が溶けてくると、透明だったエッチング液がだんだん青くなってきます。
中からどんどん気泡が出てくるので、様子を見ながらときどき空気を抜きます。
20分ほどでエッチング完了。
トナーに覆われていなかった銅箔部分がきれいに溶けて無くなっています。
穴を開けてトナーを落としたらプリント基板が完成。
クエン酸エッチングに関してはこちらの記事もどうぞ。
重要な廃液処理についても書いてあります。

クエン酸エッチングで基板を作る
難しいことではないけれど、いざやろうするとハードルが高いエッチング。 エッチング液(塩化第二鉄液)の用意とその取扱い、そして廃液の処理。 本を参考にして初めてのエフェクターを作った頃は、本の指示通りにエッチングでプ...
基板製作
プリント基板なので基板作りは楽ちん。
パーツを載せ、さくさくとはんだ付けを進めて完成です。
完成した基板を旧版と並べてみました。
メイン基板はひとまわり大きくなっていますが、クリッパー基板が無くなったぶんトータルではサイズダウンしています。
今度こそあの青いスプラグ150Dにするかと思いきや、やっぱり高いと思って別の物(KEMET T322)で妥協しました。
でも、旧版のディップタンタルよりは(主に見た目で)グレードアップした気分。
他にも、WIMAを使ったり要所要所で抵抗をPINKにしていたり、ちょっとだけパーツが良くなっています。
といっても、音の違いは分かりませんでしたが。
150Dやカーボンコンポジション抵抗を使っていたとしても、たぶんそんなに音は変わらないんじゃないかって思っています。
完成と感想
外していた旧版のパーツ(トーンポットのみ20Kに変更)を元通りに組み直し、新しい基板への配線を済ませたら完成です。
基本はLandgraff DODのコピーですがZendriveと同じクリッパーを採用しているので、Zendrive+LandgraffでZendGRAFFという名前にしました。
感想
新旧2つを並べて比較することができないため、旧版の音を思い出しながらの印象になってしまうのですが、基本的な感想は旧版と変わりません。
クリッパー無し
これだけやたらと音がデカい。
歪みが粗くブーミーで、ゲインをフルにすると低音弦の音が潰れます。2N7000+BAT41(非対称)
がっつり歪ませても音にパキッとした芯がある感じ。
別々に作った歪みとクリーンを後から合わせた音に似ているような気もします。赤色3mmLED(対称)
粒が気持ち粗めでカリッとした感じの歪み。
(※旧版の記事より抜粋)
トーンポットの定数を変えた影響なのか、僅かですが音色が全体的に明るい方向にシフトした印象があります。
(4時くらいまであまり変化がなく、そこを過ぎると一気に音が変わる)という問題点についてはあまり変わらず。
もっと大胆に値を変更(10Kくらい)したほうがよかったのかな。
もともと気に入って使っていたエフェクターですし、基本的な音は変わらずに扱いやすくなって見た目も良くなっただけで大満足です。
それではまた。














