PC上でギターを扱うときにいつも思っていたこと。
「ギターを弾きながらAmpliTubeのワウやワーミーを足で操作したい」
その実現にはエクスプレッションペダルが必要になります。
ペダル自体は意外と安くて2千円くらいから買うことができるのですが、ペダルから得た値をMIDI信号として出力する機器がそこそこなお値段。
手持ちのMIDI入出力機器にも、エクスプレッションペダル用の端子が付いている物はありませんでした。
そこで、手持ちのMIDI機器の中でもサイズが大きく、中のスペースに余裕がありそうだったMIDIキーボード・Alesis Q61を改造して、なんとかエクスプレッションペダルを使えるようにできないものかと考えることにしました。
分解と清掃
まずは中を見てから、ということで分解。
分解といっても、ただ裏側のネジを外して開けるだけです。
最近は爪でハメ殺しにして簡単には開けられないようになっている物も多いので、こまめなメンテナンスをしやすいネジ止めだとほっとします。
内部の構造
鍵盤とバネ
鍵盤はシーソーのようになっていて、一方がバネで固定されています。
白鍵も黒鍵もすべて同じ長さのバネが使われていました。
となると、鍵盤の長さ(=支点から力点までの距離)の違いによって白鍵と黒鍵の反発力に違いが出るんじゃないかという疑問が湧いてきます。
それに対する答えがこちら。
白鍵のバネのほうが長く伸びている(強いテンションがかかっている)のが分かるかと思います。
こうすることで指先に掛かる力が白鍵と黒鍵でだいたい同じになるようにしていたんですね。
低価格でもできるだけ自然な弾き心地を、というメーカーの工夫が見て取れるような気がします。
面白い発見でした。
鍵盤の接点
鍵盤の操作に反応する部分はこんな感じ。
リモコンの類を分解したことがある人なら、似たような物を見たことがあるのではないでしょうか。
おそらくそれと同じ仕組みだと思われます。
しかし、この接点だけでどうやってベロシティ情報を取得しているんだろう。
上下それぞれの接点に導電ゴムが触れる際の時間差とかなんですかね。
それくらいしか想像つきません。
お掃除
このキーボードは購入してから9年が経過しています。
開けて中を見るのは初めてで、内部は9年分の埃でいっぱい。
改造の前にきれいに清掃することにしました。
特に鍵盤と鍵盤の間にたくさんの埃が溜まっています。
隙間が狭くてきれいにするのが難しいので、鍵盤をすべて外しました。
鍵盤の側面が埃だらけ。
これらを1本ずつきれいに拭き取ってから、元のように組み直します。
中もきれいになったので、本題の改造へ。
改造
改造方法について考える
改造といってもそんなに難しいものではありません。
めちゃくちゃ大雑把に言うと、内蔵のボリュームポットを外付けのポットに交換するみたいなものです。
そう聞くとすごく簡単なように思えてきますよね。
実際、簡単なんです。
Q61のMIDI操作子がどうなっているか概略図にするとこんな感じになります。
結局、ピッチベンドホイールもモジュレーションホイールもData Entryのスライダーもただの可変抵抗(ボリューム)なんです。
ホイールやスライダーを動かして得られた抵抗値をメイン基板上のチップが受け取り、それをMIDIデータに変換して出力するという流れ。
ピッチベンドとモジュレーションはポット、Data Entryはフェーダー、という形状の違いはありますが、どちらも10kΩ Bカーブの可変抵抗です。
そして、今回の改造で使えるようにしたいと考えているエクスプレッションペダルも10kΩ Bカーブの可変抵抗。
なので、いずれかの可変抵抗とエクスプレッションペダルを入れ替えれば使えるようになるんじゃないか、というのが今回の計画。
上図のAに繋いだ場合、エクスプレッションペダルはピッチベンドペダルになります。
これはこれで面白そうですが、今回の目的とは異なるため却下。
Bに繋ぐとMIDI CC1をペダルで操作できるようになります。
AmpliTubeのワウをCC1にアサインすることで、目的を果たすことはできそうです。
さらにベターなのがCに繋ぐこと。
Q61のData Entryは任意のMIDIコントロール信号を本体で設定できるようになっています。
つまり、Cに繋げばペダルで操作できる信号のバリエーションが増えるということ。
自由度が一気に高まります。
ペダルを使えるように改造するのなら、ここに繋ぐのが一番楽しめるでしょう。
ただし、そのまま上図のように繋ぎ変えてしまうと、Data Entryのスライダーが無駄になってしまいます。
常時エクスプレッションペダルを使うというわけではないので、ペダル使用時とスライダー使用時で切り替えられるように考えることにします。
改造作業
計画が固まったので、作業に取り掛かります。
こちらが実体配線図。
メイン基板の横にジャックを設置するのにちょうどいいスペースがありました。
そこに穴を開けておきます。
プラスチックの筐体に穴を開けてジャックを固定するのは強度の点で不安がありましたが、杞憂だったようです。
比較的硬い樹脂で厚みもかなりあったので、ジャックをしっかり固定することができました。
ジャックはTRSのスイッチ付き、6ピンの物を使用。
これを使うことで、ジャックになにも挿さっていない時はメイン基板とData Entry基板が繋がり、プラグを挿すとData Entry基板は切り離されるようになります。
リード線をはんだ付けして、基板側にはXHコネクタを取り付けました。
あとは、このジャックを上の配線図のように繋げるだけで完成です。
動画をアップしました
作業の様子と、繋いだペダルを使ってAmpliTubeのワウを操作する様子を撮影した動画をYoutubeにアップしました。
動画を見ても分かるように、AmpliTubeのワウを操作するという当初の目的を果たすことができました。
ローコストで作業も簡単。
大満足な結果になりました。
それではまた。












