(見出しの日付は元記事の投稿日)
2017年12月9日
前回の作業で、難関のひとつである溝掘りを無事に終えることができました。
続いては、スピーカーを扱う工作では避けて通れない、バッフル板の穴開け加工です。
一般的なホームセンターでお願いできるカットは材料の端と平行な直線のみで、曲線や斜めの直線には対応してもらえません。
そのため、曲線カットが必要なこの工程は、必然的に自分でやることになります。
手挽きで大きな丸穴を開ける
厚さ18mmの合板に直径28cmの円形カットというなかなかの難敵。
手軽に切るならジグソー、高い精度も求めるなら治具をセットしたトリマーやルーターを使うのが一般的みたいです。
ジグソーもトリマーもルーターも無し、面取りや溝掘りの時のような便利アイテムも思いつかず。
ここは手挽きで真っ向勝負を挑みます。
木工ペッカー80という挽き廻し用の替刃をセット。
まずドリルで10mmの穴を開け、そこに刃を入れて切り始めます。
しかし、すぐに作業中断。
直線ではなく円弧状に切り進むため、常にケガキ線を見ている必要があるのですが、刃とオガ屑が邪魔で刃の進む先を確認するのが難しく、思いのほか切りづらい。
ちょっと進んだらオガ屑を払い進行方向確認、またちょっと進んだらオガ屑を… という感じで、ぜんぜんスムーズに進めません。
この問題は、こちらのブログ記事で紹介されていた方法で解決しました。

『木工ペッカー』
こんにちは^^今日はお休みを頂いて家からの更新です本日は、木工Goodsを紹介しま~す。 挽き回しのこぎり・・・・・ノコの先が細くなっているので曲線も切ること…
刃の向きを逆に取り付けるといいみたいです。
さっそく試してみると、確かに見やすい。
ノコギリを両手で握っていても刃の真上からケガキ線を確認できるため、刃を垂直にキープしやすいという利点もあります。
手前から奥に向かってノコギリを進める動きは難しそうに思えましたが、実際にやってみるとそんなことはなく、特にコツもいらずに切ることができました。
刃の向きを変えてからは順調に進んだものの、いかんせん距離が長い。
地道に切り続け、格闘すること40分強。
やっとの思いでゴールに到着。
難しくはありませんでしたが、とにかく疲れました。
スピーカーを固定するネジの穴開け。
バッフル板を固定する板とスピーカーが干渉する箇所をカット。
この後、断面の凸凹をサンドペーパーできれいに整えて、次の塗装に備えます。
塗装
キャビネットの内側に塗装強度は必要ありませんし、見た目にこだわる部分でもないので、ここではダイソーの水性ニスを使います。
過去に何度か使っていて、それなりに信頼もしています。
1度塗りして乾燥。
色ムラなど気にせず、どんどん塗っていきます。
3度塗り完了。
意外といい色です。
オーソドックスな黒塗りではなく、比較的明るめなけやき色で木の質感が残るようにしました。
ニスが乾いたら、バッフル板を固定する板などを外枠に取り付け。
ネジの力だけでも十分かと思いましたが、タイトボンドが固まるまではクランプも使ってしっかり圧着しました。
ここでいったんバッフル板をはめ込んで、バッフル板を固定するネジの下穴を開けておきます。
バッフル板を取り外し、さきほど開けた下穴に皿ネジ用の面取り加工を施したら、表側を黒く塗装します。
これまたダイソーの工作用ペイント(水性アクリル塗料)を使用。
こちらの使用感も全く問題ありませんでした。
塗装が乾いたら再度バッフル板をはめ込み、ネジでしっかり固定。
将来取り外す可能性も考慮して、ここではボンドは使いません。
次に、スピーカー固定用の爪付きナットを埋め込みます。
ナットの銀色が目立たないように黒く塗りたいのですが、工作用ペイントも黒マジックもうまく乗らず、ただの汚れた金属という感じになってしまいました。
そこで、木口テープを貼って隠すことに。
木口テープは19インチラックを作った時の残り物を活用しました。

19インチラックを作る
涼しく過ごしやすくなってきたので、前々から作ろうと思っていた19インチラックの制作に着手。 CDラック制作で余った12mm厚のヒノキの合板を効率よく活用できるように考えて設計しました。 余った合板のサイズは1820x450mm...
木製のテープなので、バッフル板によく馴染んでいます。
次はいよいよ外装です。
2017年12月11日
前回までで箱がほぼ完成し、これから外装に取り掛かります。
と、その前に。
ネジ穴をそのままにしておくとシートをきれいに貼れないので、前もって塞いでおきます。
ダボを埋め、ボンドが乾いたらノコギリでカット。
残った段差はNTドレッサーとサンドペーパーで削りました。
その他にも、合板の割れや欠けなどの小さな凹凸を木工パテで補修し、表面をできる限り平らに整えたら準備完了。
あと、バックパネルにジャックプレート用の穴を開ける作業を忘れていました。
挽き廻し用のノコギリでカットし、プレートに合わせてサンドペーパーでエッジを処理。
小さい経の円弧をきれいに切るのは難しく、若干ゆがんでしまいました。
プレートを乗せれば隠れるので問題なし。
ここまで終えたところで、いざ外装へ。
トーレックスと合皮シート
楽器関係の店で扱っている専用のトーレックスは高いので、代替として合皮シートを使うことにしました。
厚さに違いはあるものの、ほぼ同じ物だと思います。
合皮シートを使うにあたって気をつけるのは、PVC(塩ビ)とポリウレタンの違いくらいでしょうか。
ポリウレタンは経年によって加水分解を起こし、数年後には表面がひび割れたり剥がれたりする可能性があるため、キャビネットの外装のように長年貼りっぱなしする用途にはあまり向いていません。
そういった意味では、トーレックスと同じPVCの物を選ぶのが望ましいのですが、手触りや見た目の質感がいい合皮はたいていポリウレタンの物なので、そこが悩ましいところです。
ちなみに、トーレックス(Tolex)って商標なんだそうです。
アンプなどに使われるビニール外装のことを指す一般名称だと思っていました。
椅子やソファの張替えにも使われる合皮シートは色やデザインが豊富にあるので、どれにしようか本当に迷いました。
部屋に置いたときの圧迫感を減らせるように、ギターアンプの定番色である黒を避けるということだけは決めていましたが、それ以外は全くの白紙。
様々な色のギターアンプを画像検索で探しては、あの色がいい、この色もいいとあちこち目移り。
部屋での収まりを考えて茶系などの無難な色にしたい一方で、せっかくの自作なんだからオリジナルな物にしたいという思いもあったりで、なかなか決めきれず。
結局、自分の好きな色にするのが正解だという結論に至りました。
好きな色なら、いまいちな結果になったとしても後悔することはありませんし。
というわけで、手芸の店で合皮シートを購入。
抹茶色と薄いアイボリーの組み合わせにしました。
オリーブグリーンやカーキグリーンといった、くすんだ緑色が好きなんです。
この色と、綿や麻のナチュラルな白(生成り色、薄いアイボリーやベージュ)の組み合わせが特に好き。
問題なのは、この色がギターキャビネットに向いているかどうか。
合皮シートを貼る接着剤
DIY系のフォーラムやYoutubeをチェックしたところ、トーレックス貼りにはゴム系のスプレーのりを使っているケースがほとんどでした。
おそらく、作業性や接着強度など複合的な理由で、それがベストな選択のひとつとされているのだと思います。
それならばとスプレーのりを買いに走る前に、まずは手持ちの接着剤の中で使える物はないかと、合皮のハギレと余った合板でテストをしました。
・タイトボンド ・木工用ボンド
刷毛などで伸ばしやすい。
長時間の圧着が必要なものの、乾燥後の強度は高い。
初期接着力が低いため、角などの合皮を折り曲げる箇所では、合皮のハリに負けて浮いたり剥がれたりしてしまう。
・G17 ・Gクリヤー
均一に伸ばすのが難しい。
大量に使うと溶剤のニオイがきつい。
初期接着力が高く、角や狭いところでもしっかりと貼れる。
合皮の表側にくっついても、手でこすれば簡単に取れる。
・GPクリヤー
最初はしっかりと接着できたが、数時間後には水っぽくなって剥がれてしまう。
・壁紙用のり
まったくくっつかず。
以上の結果を踏まえ、上面・底面・側面の広い部分にはタイトボンド(足りなくなったら木工用ボンド)を、それ以外の箇所ではGクリヤー(目立たない所ではG17)を使うことにします。
前フリだけでずいぶん長くなってしまいました。
実際の作業の様子は次の記事で。
2017年12月13日
外装作業についての前フリまでで終わってしまった前回の記事に続き、今回は実際の作業の様子について書いていきます。
キャビネットに合皮シートを貼り付ける
まずは広い面から。
合皮シートは少し余裕を持ってカット。
現物合わせで貼り付け位置を決め、合皮シートの裏面とキャビネットの双方に印を付けておきます。
刷毛を使ってキャビネット側にタイトボンドを塗り広げ、さきほど付けた印を目安にシートを貼り付けたら、浮きやシワができないようにきっちりと伸ばして、完全乾燥するまで圧着。
この大きさの物を圧着できるような道具(ハタガネなど)を持っていないので、部屋にある重い物をひたすら乗せていくという原始的な方法で圧力をかけました。
このままで丸1日待ちます。
完全に乾いたのを確認できたら、アイボリーのシートも同じやり方で貼って、さらにもう1日。
広い面を終えたら、バックパネル固定板の周りやコーナー部分を貼る作業へ。
ここからはゴム系ボンドのGクリヤーやG17を使います。
まず、前面のアールが付いている部分を巻き込むように覆っていき、バッフルボードとの境目でシートをカット。
その後、シートの端をビーディングの溝に押し込んでおきます。
コーナー部分については、YoutubeでHow to動画をチェックして手順を学びました。
難しそうなうえに一発勝負ということもあって尻込みしてしまいましたが、「失敗したらコーナーガードで隠せばいいや」とダメ元で挑戦。
完璧とは言えないものの、そこまでひどくはならずに済みました。
これくらいならコーナーガード無しでも大丈夫そうです。
3辺全てにアールがついている前面のコーナーに比べると、背面のコーナーはいくらか楽に貼れました。
階段状に貼る箇所が面倒ではありましたが、難しさはそこまで感じませんでした。
内側から見るとこんな感じ。
バックパネル固定板を巻き込むように貼っています。
* 2018/08/12 追記 *
完成から約一年が経ちました。
時間の経過による劣化なのか、この時期の暑さや湿気によるものなのかは分かりませんが、合皮シートの貼り付けにGクリヤー・G17を使用した箇所の一部が剥がれてきました。
全体の見た目は完成時とほとんど変わっていません。
しかし、シートの切れ目や端っこなどがところどころ剥がれて浮いてしまっています。
粘着力が完全に失われているわけではないようで、押さえると貼り付きますが、またしばらくすると浮いてきます。
全体がベロンと剥がれて使い物にならなくなるというほどではありませんが、木材に合皮シートを貼るという用途ではGクリヤーやG17はおすすめできません、という結果になりました。
* 追記ここまで *
ワックスコードでビーディング
合皮シートを貼り終え、次はビーディングの仕上げ。
ここで使うビニールチューブも専用の物は高いので、代わりになる物を探します。
いくつかの案を比較検討した結果、ワックスコードという手芸用の紐を使うことにしました。
蝋引き紐とも呼ばれる物で、編んで小物を作ったり巾着袋に使ったりする紐だそうです。
太さがちょうどよかったことと、見た目の質感が気に入ったことが決め手になりました。
コードの端にこびょう(小さな釘)を打ち込んで固定します。
コードを引っ張りながら溝に押し込んでいき、反対側まで行ったら、こちらにもこびょうを打ち込んでしっかり固定。
これらの作業では接着剤を使いません。
溝の奥までしっかりと押し込めていれば、外れてしまうことはなさそうです。
ワックスコードの編み目と合皮のシボ感が相まって、なかなかいい表情に仕上がりました。
専用のビニールチューブよりもこっちのほうがいいんじゃないか、っていうくらい気に入っています。
ワックスコードにしたのは正解でした。
合皮貼りとビーディングを終え、キャビネット本体はほぼ完成。
残す作業はというと、
前面にグリルクロスと飾り板。
内部にスピーカー、背面にはバックパネル。
いよいよ完成が近づいてきました。
それではまた。






























