1x12ギターアンプ用キャビネットの自作 その3

Nori (groocyweed)
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当記事は、旧ブログにて公開していた複数の記事をひとつにまとめ、一部加筆修正を行ったものです。
(見出しの日付は元記事の投稿日)
(toc) #title=(目次)

2017年12月15日

前回までで箱そのものはほぼ完成。
続いて、キャビネットの顔を仕上げていきます。

飾り板を作る

まずは飾り板のデザインをどうするか。

頭の中でイメージするだけでは難しいので、いくつかの案に合わせて紙を切り、実際に見て比較しました。

上2つが無難な感じで、右上が最有力候補。

しかし、最終的に決めたのは左下。
特に理由があるわけではなく、なんとなくで決めました。

デザインが決まったところで、飾り板を加工していきます。
キャビネット本体と同じように、色の境目となるラインにビーディングの溝を掘ります。

この作業で使うのはもちろん溝切りくん、ではなくてこちら。

溝切りくん2号。

グリップ部分が木片からアルミアングルに変わりました。
初代よりも握りやすく、作業効率が3割アップ。※当社比

実際に使ってみて扱いやすさを実感。

キャビネット本体に溝を掘った時よりも、短時間で楽に切込みを入れることができました。
今後、合板に溝を掘る機会がやってくるかは分かりませんが、もしそのときが来たら溝切りくん2号を使いたい。

溝掘り加工が済んだら合皮シートを貼り、溝にワックスコードを埋め込みます。

これで飾り板が完成。

枠を作り、グリルクロスを張る

グリルクロスの枠はボンドと波釘を使って組み立て、ボンドが乾いたら表側を黒く塗装。

バッフルホールと干渉する部分はカットしてあります。

この程度の干渉であれば音への影響は無視していいレベルだと思いますが、どうしても気になってカットすることにしました。
「そこを気にするくらいなら真ん中の柱を無くせよ」って話ではありますが、枠の強度やスピーカー保護の観点からこれはそのままに。

波釘を使ったのは初めて。

圧着しにくい場所だったこともあり、ボンドだけでは心もとなくて補強に使ってみました。

いちおう問題なく完成し、グリルクロスを張リ終えたところまではよかったのですが、織り目が若干波打ってしまったのが気に入らず張り直すことに。
その際、タッカーを引き抜こうと力を加えたら、枠の接合部があっさりポキっといってしまいました。

結局、ダボ継ぎでやり直し。

面倒くさがらずに、最初からこうしておけばよかった。

気を取り直して、グリルクロスを張り直す作業へ。

もちろん、グリルクロスは代替品。

合皮シートやワックスコードを買ったのと同じ手芸店で、この用途に向いていそうな布地を見つけました。
古いラジオのスピーカー部分を彷彿とさせる、ちょっとレトロな雰囲気があります。

1回目の失敗を教訓にして張り直し。

クランプの力を借りてピンと張った状態をキープしつつ、タッカーを打ち込んでいきます。

後半はひたすら力ずくに引っ張って、やっとの思いで張り終わり。

端のほうをよく見ると、わずかに波打っている箇所もありますが、これが限界。
1回目に比べれば上出来です。

バッフル板への固定方法はマジックテープです。

飾り板&グリルクロス側にはメスを、

バッフル板側にはオスを、両面テープで貼り付けてからタッカーを打ち込みました。

いよいよ次で完成か?

2017年12月16日

残す作業はあとわずか。
完成目指してラストスパート。

バックパネルとハンドルと足

まずはハンドルから。
すでに開けてある穴に爪付きナットを打ち込みます。

外から見えない場所なので、ナットは隠さずそのままに。

ネジを締めてハンドルを固定。

ハンドルが付くことでキャビネットらしさがグンと増しました。

次はバックパネル。

合皮シートを貼り、ジャックプレートを取り付け。

これといった加工をしていないただの板なので、キャビネット本体や飾り板に比べたら楽な作業。

下穴を開けたら、ネジできっちり固定。

ここにはトラスネジを使うつもりだったのですが、丸皿ネジ+ロゼットワッシャーの組み合わせにしました。
しかも、ロゼットワッシャーはプレスではなく削り出しの物なので、高級感があります。

コストダウンのために代替品を多用した今回のキャビネット作りにおいては、唯一の贅沢といえるかも。

最後はゴム足。

こちらも慎重に位置決めをして下穴を開け、ネジで固定。

スピーカー取り付け

スピーカーはEminenceのCannabis Rexにしました。
Cannabisの名が示すとおり、Hemp(麻)コーンのスピーカーです。

ヘンプコーンだからなのか、緑がかった色をしています。

インプットジャックをちゃちゃっとハンダ付け。

ここは無難にSwitch craft #11とBelden 8470を選択しました。
スピーカー側にはファストン端子を圧着。

スピーカーをきっちりネジ留めしたら、ファストン端子を挿し込みます。

最後に、インプットジャックをバックパネルのジャックプレートに取り付けたら…

完成

ついに完成です。

もしかしたら、あとからグリルクロスの周りにパイピングを施すかもしれませんが、とりあえずここでひと区切りつけます。

背面はこんな感じ。

使った材料やかかったコストなど、まとめは次の記事で。

2017年12月23日

無事に完成までたどり着いた自作キャビネット。
最後に、いくつかの画像とともにまとめや感想を綴っていきます。

スペック

完成したキャビネットのスペックがこちら。
寸法 幅 486mm 高さ 440mm 奥行き 300mm(ハンドル・ゴム足を含まず)
重量 14.6kg
スピーカー Eminence Cannabis Rex
口径 12"
インピーダンス 8Ω
許容入力 50w

思ったよりも重くなってしまいました。
鳴りやすいイメージの箱よりも、とにかくガッシリした箱にしたいという希望があったので、それはそれでいいのですが、持ち運ぶのが大変そうです。
バッフル板は12mmにしてもよかったかな。

スピーカーはバッフル板の中心からずらして配置。

定在波がなんちゃらで共振がどーたらで、とかいう理屈があるみたいですが、よく分かりません。
市販のキャビネットでも、スピーカーがど真ん中にある物とずらしてある物の両方が存在しますし、正直どちらでもいいんじゃないかって気もします。

材料費

使用した材料とおおよその金額は以下のとおり。
●木材
18mmラワン合板 1820 x 910mm ¥3,000
12mmラワン合板 300 x 910mm ¥500

●ネジ類 合計 ¥1,800
スピーカー用(M5 / 各4ヶ)
 ナベねじ 25mm / ワッシャー / 爪付きナット

バックパネル用(M5 / 各12ヶ)
 丸皿タッピング 30mm / ロゼットワッシャー

ハンドル用(M5 / 各4ヶ)
 丸皿ねじ 25mm / 爪付きナット

ゴム足用(M4 / 4ヶ)
 トラスタッピング 20mm

ジャックプレート用(M3 / 3ヶ)
 トラスタッピング 黒 10mm

箱組み立て、バッフル板取り付け、固定板取り付け(48ヶ)
 コーススレッド

●外装関係
合皮シート 125 x 50cm x 3枚 / ¥1,000
布生地 150 x 150cm / ¥300
ワックスコード 10m / ¥300
ハンドル / ¥1,300
ゴム足 / ¥400

●電気関係
スピーカー / ¥8,600
スピーカーケーブル / ¥200
インプットジャック / ¥200
ジャックプレート / ¥200
ファストン端子(2ヶ) / ¥20

●その他 合計 ¥1,500
木材カット、接着剤、塗料、マジックテープ、タッカー針、こびょう

トータルで2万円弱。

合皮シート・ワックスコード・布生地の代替品トリオのおかげで、コストを大幅に抑えることができました。
専用のトーレックス・ビーディングチューブ(パイピング)・グリルクロスを揃えた場合、これより1万円近く高くなってしまいます。

市販の12インチキャビネットは1万3千円くらいからあるので、2万円弱という数字を安いとみるか高いとみるかは難しいところ。
単純に「できるだけお金をかけずにキャビネットが欲しい」という理由だけで自作を考えるのは早計だと思います。

僕の場合は、作る過程そのものが娯楽みたいなものだったのと、自分好みの仕様やデザインのキャビネットが欲しかったという2つの大きな理由があって自作に踏み切れました。

作業について

合間を見ながら休み休み進めていたこともあり、作業開始から完成までにかかった期間は1ヶ月ほど。

実質的な作業時間は3~4日くらいでしょうか、接着剤や塗料の乾燥待ちの時間を含めても、1週間あれば余裕を持って完成させられるくらいの作業量だと思います。

「失敗したから捨ててもう1回作り直そう」なんて気軽にできるようなサイズの物ではないので、とにかく失敗しないように、一発で納得のいく物が作れるようにと、事前の情報収集にはかなり時間をかけ、作業をひとつ進めるごとに手順の確認とイメージトレーニングを念入りに行いました。

塩ビパイプサンダー溝切りくんについては、自分の単なる思いつきがうまくいくかは疑わしい部分もあったため、試しに端材を加工してみて結果を確認したうえで、実際の作業に取り入れることを決めました。

他にもいろいろ大変なことはありましたが、久々のDIYということもあって、製作期間中はとにかく楽しかったです。

苦労した点

事前の情報収集では、日本語の情報が少なくて苦労しました。

キャビネットの構造、板の厚さ、ネジの太さなど、欲しい情報が見つかりそうでなかなか見つからず、DIYが盛んな海外のサイトを参考にすることが多かったです。
どこへ行くにもgoogle翻訳が欠かせませんでした。

作業そのものについては、とにかく楽しいという感覚のほうが強かったので、苦労したという印象はあまりありません。
しいて言えば、製作期間中は工具やら材木やらで部屋が散らかり放題で、寝床などの生活スペースを確保するのに苦労しました。

自宅で出せる範囲の音量しか試せておらず、現時点では音について評価できるまでには至っていません。
スタジオでボリュームを上げて鳴らしたらどうなるか気になるところです。

今はただ鳴らすだけで満足しています。

小音量でも、12インチスピーカーの余裕は感じられます。
ちょっとボリュームを上げると、床に振動が伝わるので注意が必要なくらい。

高域はそんなに出ない印象で、キンキンもシャリシャリもしません。
Cannabis Rexがそういう傾向のスピーカーなのもありますが、おろしたての新品だからというのもあるかもしれません。
特にヘンプコーンのスピーカーはブレークインに時間がかかるらしいので、鳴らし続けていった先にどのような変化が現れるのかが楽しみです。

それではまた。