8年前に作ったSuper Hard On(以下SHO)の音は気に入っていたのですが、スイッチ無しで常時かけっぱなしの仕様にしたのは失敗だったなと、ちょっと後悔することがままありました。

クリーンブースターを作る
前々から作ろうと思っていたクリーンブースターを作りました。 いくつもある定番ブースターの中から選んだのはZ.VEXのSuper Hard On。 少ないパーツで簡単に作れて、音の評価も高いということで決めました。 まずは試作用...
やっぱり状況に応じてエフェクトのオンオフを切り替えたいなと。
そんなわけで、新たにクリーンブースターを作ることにしました。
構想を練る
SHOの音は気に入っているので、また作りたい。
とはいえ、過去に作った物をもう一度同じように作るというのもつまらない。
クリーンブースターといえばMicroAmpも以前から気になっていて、これも作りたいと思っていました。
どちらも簡単な回路で、パーツ点数も少なめ。
どっちを作ろうか迷うくらいなら、両方をひとつのペダルに入れちゃえばいいんじゃないかと考えました。
そう考えたきっかけが、ZVEXのSuper Duper。
これはSHOを2つ直列に繋いだという、なかなかに強烈な代物。
これが大丈夫ならSHOとMicroAmpを直列に繋いでも大丈夫だろう、という安易な考えで2in1なブースターを作ることに決めました。
トグルスイッチで2種類のブースターを切り替える方法も考えられましたが、ここはSuper Duperに倣い、それぞれにフットスイッチを用意して直列に繋ぎます。
この方法なら演奏中でも任意のブースターをオンオフすることが可能に。
もちろん重ね掛けもOK。(とはいえ、かなりのゲインアップになるので、音量に注意が必要ですが)
ケースの加工と塗装
フットスイッチ2つのエフェクターを作ったことがなく、基板にどれくらいのスペースを取れるか分からないので、レイアウトを考える前にケースを加工します。
まずは穴開けから。
ケースはタカチのTD-6-11-3。
パーツ同士の干渉などを考慮した穴の位置決めや、ラベルのデザインにはLibreOfficeのDrawを使っています。
ケースを塗装。
プライマーを2回、白のラッカーを6回吹きました。
ちょこちょこ埃を噛んでいるけど気にしません。
ブースなどない自宅での塗装なので、これが限界。
ラベルを貼り、その上からクリアーラッカーを2回吹いて完成。
ラベル用紙は白地のフィルムタイプを使っています。
このフィルムはかなり光沢のあるラベルに仕上がるため、エフェクターの表面としてはいまいちな質感。
テカリが強すぎてあまり好きではありません。
ただ、その上にクリアーラッカーを吹くことで不思議と粒状感のあるザラッとした質感になり、それがすごく気に入っています。
この画像で伝わりますかね。
レイアウト
ケースが完成して、基板にどれくらいのスペースが取れるか分かったので、レイアウトを考えます。
SHOはバージョンによって少し回路が変わっているようで数種類の回路図が出回っていますが、このレイアウトは古いほうの回路図を基にしています。
アウトプット部分でボリュームを調整できるようにポットやトリマーを付けるMODを見つけたので、そちらにも対応できるようにしてみました。
MicroAmpのほうは、見つけた回路図のまま変更を加えずにレイアウトを考えています。
プリント基板を作る
考えたレイアウトからトレース部分を抜き出し、プリント基板用に清書。
上:レーザープリンタで写真用光沢紙に印刷。
下:アイロンを使ってトナーを生基板に転写。
オキシドールとクエン酸と塩を使ってエッチング。
トナーで覆われていない銅箔部分が溶けて無くなりました。
穴を開けてトナーを落としたらプリント基板が完成。
パーツ組み込み
プリント基板にどんどんパーツをはんだ付けしていきます。
こだわりのパーツなどは特にありません。
ニチコンFGは秋月で安く買えるので重宝しています。
4.7uFだけ売っていなかったので、別のお店でスプラグの517Dを買いました。
フィルムコンデンサとセラミックコンデンサはジャンクのTASCAM488から取り出したリサイクル品で、おそらくフィルムコンデンサは松下のECQVかそれに近い物だと思われます。

ジャンクのTASCAM488
TASCAM488の2台目と3台目を購入したお話。 まずは2台目。 実をいうと、これはカセットMTRを探し始めた初日に見つけていた物。 再生せずのジャンクで500円。 しかし外観がかなり汚かったため、迷った末に購入は見送り...
MicroAmpの出力のカップリングはオリジナルだと15uFですが、あまり見かけない数値なので10uFに変更しています。
ケース内にパーツを組み込み、配線していきます。
電池を出し入れしやすいように大きく迂回させるか、信号のロスを少しでも減らすため短くするか、2つのスイッチ間の配線(黄色い線)の長さは悩みどころ。
僕は基本的にパワーサプライがメインで電池をあまり使わない派なので、ここは後者を優先しました。
ポットと基板の配線を終えたら完成です。
前述したとおり、電池の出し入れが若干窮屈になっています。
基板とケースがショートしないように絶縁用のフィルム(僕はクリアファイルを切り出して作っています)を仕込んで蓋を閉じたら作業終了。
完成と感想
そんなこんなで完成です。
Booster for INDECISIVE
優柔不断ブースターって感じのネーミングにしました。
ノブの役割はどちらもGAINですが、分かりやすいようにSHOのほうはオリジナルと同じCRACKLE OKAYにしています。
Super Hard Onのノイズ
SHOをオンにした時だけ小さなノイズが出ます。
「サー」というカセットテープのヒスノイズみたいな音。
ギターのボリュームを完全に絞った状態でオンオフを切り替えると分かりやすい。
MicroAmpをオンにしてもノイズはまったく出ないので、SHOの回路あるいはレイアウトが原因なのではと思われます。
前に作ったSHOでこんなノイズしてたっけ、と思って改めて聞いてみたらまったく同じノイズがありました。
常時オンの仕様で作ったため、当時はノイズに気づけなかったんでしょう。
スイッチャーに繋いでオンオフを切り替えたらよく分かりました。
"super hard on hiss noise"で検索したらThe Gear Pageの中でこんなフォーラムを発見。
An SHO with less noise
I love my SHO, but it's really noisy. I experimented with where I put it in the chain today, and did bring the noise down a fraction, but even using an extremely subtle setting, it just adds too much hiss. For comparison I had both an OCD and an FD2 running much higher levels of gain, with far...
「SHOでヒスノイズが聞こえる」というユーザーの投稿に対して、設計者のZacharyさんが回答しています。
それによると、ヒスノイズはMOSFET由来であるらしい。
それでも、そこから得られるチューブライクなサウンドが好きだからMOSFETを好んで使っている、とのことでした。
そのうえで「バンド演奏している中で誰がこのノイズを聞き取れるんだ?」みたいなことも仰っていました。
要するに、細かいことは気にすんなってことでしょう。
実際、弾いている時にはまったく聞こえませんし、こんな小さなノイズは気にしないことにします。
そもそも、シングルコイルの「ジー」というノイズのほうがずっと大きいですから。
音の比較
さすがに定番機種とあって、どちらもいい音がします。
どちらかといえばMicroAmpのほうが素直に持ち上がります。
余計な色は付けずに、音がグッと前に出てくる感じ。
艶っぽさというかキラキラ感みたいなものが付加される印象があるので、もしかしたら少しハイが持ち上がっているのかも。
SHOはわずかにローミッドが強調されて、音が前に出つつ太くなる感じ。
ガツンとしたロック感みたいなのは、こっちが強いです。
個人的には、クリーントーンにMicroAmp、歪んだ音にはSHOを使いたい。
それぞれ個別のペダルとして持っていて、どちらか片方しかボードに組み込めないってなったら、どっちにしようか物凄く悩んでしまうところ。
そう考えると、これは2in1で作って良かったなと。
まさに優柔不断な人のためのブースターです。
以前作ったSuper Hard Onとの違い
ちなみに、以前作ったSHOのほうが今回作った物よりもわずかに音が太く感じられました。
両者の違いは、入力のパスコン(0.1uF)とダイオードくらい。
強いて挙げれば、ケースやレイアウトの違いもあるけれど。
入力のパスコン
今回:おそらく松下のECQV(上述)
前回:東信工業のUPZ
ダイオード
今回:1N4148
前回:1N914
音に関係しそうなのはパスコンのほうですが、さて真相やいかに。
こういったパーツによる音の違いについて、いろいろ試してみるのも面白そうです。
それではまた。













