パワーサプライ付きの4ループスイッチャーを作る

Nori (groocyweed)
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絶対に必要というほどではないけれど、あればなにかと便利なスイッチャー。

切り替えの自由度が増しますし、繋ぐエフェクターによってはパイパス音の音痩せ対策にもなります。

前々から欲しいと思いつつも実際に手にするまでには至らなかった、そんなスイッチャーを作りました。

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ケースのレイアウト

まずはケース内のパーツ配置を考えるところから。

ケースはタカチのMB-6-4-25(旧MB-14)を使います。
サイズ的に4ループスイッチャーにぴったり。

ただ、このケースにはレイアウトを考えるうえで困った点がひとつあります。

それがこのシャーシ側の折り返し部分です。

ケースの強度を高める大切な要素ではあるのですが、この折り返しとジャックが干渉しないようにレイアウトを考えるとかなりの制約ができてしまいます。

簡略化した図で表すとこんな感じ。

折り返し部分が干渉しないようにジャックを配置したのが画像上段。

DCジャックの上下にほとんどスペースがなく、配線するときに苦労しそうです。
また、全体的に重心が高くなるため、ジャックに挿したプラグの重さでケース手前側が持ち上がってしまうかもしれません。

画像中段のようなパターンも考えてみましたが、これはこれで使い勝手が悪そう。
見た目にもごちゃごちゃした感じがあります。

理想の配置は画像下段。
しかし、これだと折り返し部分とジャックが干渉してしまいます。

しばらく悩んだ末、やっぱり完成時のバランスが大事だと考えて、下側のレイアウトで作ることにしました。
干渉の問題については、折り返し部分をカットすることでなんとかなるでしょう。

配線図と基板レイアウト

スイッチャーもパワーサプライも簡単な回路なので、いきなりレイアウトから考えていきます。

3PDTスイッチの配線の仕方は何パターンかあって、僕はこの配線方法が好きです。
エフェクターを作るときも基本的にこの繋ぎ方をしています。

2色タイプのLEDを使い、ループ経由 or スルーで色が変わるようにしてみました。
スイッチ側をGNDにするためアノードコモンのLEDをチョイス。

電源逆接続の対策をしていないので、アダプターの極性を間違えるとLEDが壊れてしまいます。
不安になるならダイオードを入れるなどの対策が必要。

自分用なので、このあたりは簡素化しています。

パワーサプライについて

パワーサプライは2系統に分けました。

片方は合計1Aまでの余裕があり、それを2つのDCジャックから出力。
こちらは主にデジタルエフェクターでの使用を想定しています。

もう一方は合計500mAまでで、6つのDCジャックから出力。
こちらはアナログエフェクターでの使用を想定。

いわゆる独立(アイソレート)電源とは違うので、ノイズ対策に効果があるかは分かりません。

ただ、それぞれのGND間の抵抗が10MΩほどになるので、単純に分岐するよりは良いことがあるんじゃないかと淡い期待を抱いています。

製作作業

どう作るかが決まったので、さっそく作業開始。
まずはケースから。

ケースの加工

穴開け

いつもならサクサク進む穴開け作業も、今回は少し手間取りました。

アルミ板折り曲げタイプのケースは素材に粘りがある感じで、バリができやすいです。
アルミダイキャストのケースみたいにきれいな切り口になりません。

それに加えて今回は開ける穴の数が多いので、苦労も2倍、いや2乗に。

塗装

穴を開けたら塗装します。

ラベルのデザインはいつものようにLibreOfficeのDrawを使いました。

ラベルを貼ったら仕上げにクリアラッカーを吹いておきます。

シャーシのカット加工

上述したとおり、シャーシの折り返し部分がジャックを取り付ける穴に干渉しています。

このままでジャックを取り付けることができません。

そこで、折り返し部分を数mmカットします。

ハンドニブラーでパチンパチン。
1mm厚のアルミだと軽い力でサクサクと切っていけます。

カット完了。

これによってケースの強度が若干落ちてしまうと思いますが、力の掛かる場所ではないのでスイッチャーとして使ううえでは特に問題ないでしょう。

パワーサプライ基板を作る

ケースが完成したので、次はパワーサプライの基板を作ります。

プリント基板製作

いつものように、基板のパターンはDIYLCで書きました。


完成したパターンを元にしてプリント基板作り。

(画像左上)パターンをレーザープリンタで印刷。生基板をカット。

(画像右上)印刷されたパターンのトナーをアイロンで生基板に転写。

左側の基板、GNDの縁がうまく転写できずギザギザになってしまいました。
回路に影響がない場所ですし、これくらいの転写ミスならマッキー(油性ペン)でカバーしちゃいます。

(画像左下)クエン酸+塩+オキシドールでエッチング。

(画像右下)エッチング完了。

クエン酸エッチングについてはこちらもどうぞ。

クエン酸エッチングで基板を作る

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穴を開けてからトナーを落とし、プリント基板完成です。

きれいに仕上がりました。

基板にパーツを組み込む

完成したプリント基板にパーツを載せてはんだ付け。

レイアウト図で1000uF 25Vのコンデンサを指定していた場所には2200uF 35Vの物を載せています。
秋月のお楽しみ袋に入っていて、ずっと使い道がなかったSHOEIのコンデンサを活用しました。

狭いケース内での配線を少しでも楽にするため、一部の配線にXHコネクタを使用。

使用頻度のわりに値段が高いなというのがあって、何年も購入を保留していた精密圧着ペンチ。
これがあるとできることの幅がぐっと広がるので、思い切って買ってよかったです。

パーツ組み込みと内部配線

いよいよ仕上げの配線作業に取り掛かります。

DCジャック同士はスズメッキ線で結線。

ケース内は混みあって作業しづらいので、スイッチ周りの配線作業はできる限りケース外で進めていきます。

いったんパーツをケース内に固定して、現物合わせでケーブルの長さを決めてカットしておきます。
その後、パーツを取り外してケース外で作業。

フットスイッチはフジソクの8Y3011です。
いつも使っている格安スイッチの倍以上の値段で、ちょっとした贅沢気分。

アルミ板折り曲げタイプのケースだとフットスイッチを踏んだときの「ガチャコンッ!」って音が大袈裟に響くのが嫌なんですよね。
なので、踏み込みの感触が比較的軽いこちらのスイッチを選びました。


配線が済んだら再度ケースへ組み込みます。

次にパワーサプライ基板を固定。

三端子レギュレータにはサーマルグリスを塗っておきました。
去年PCを組んだときに使ったCPUグリスの余りです。

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こういった物を捨てずに取っておくと、思わぬ場面で役に立ったりします。


フォーンジャックを固定して配線のはんだ付けを終えたら完成です。

ジャックのGNDは直接ケースに落ちているので、とりあえず配線はせずそのままにしておきました。
GNDに起因してそうなノイズが出るようなことがあれば、その時にどうしようか考えます。

完成

完成した4ループスイッチャーをチェック。

ジャックがたくさん並んだ背面から。

この後ろ姿はかなり気に入っています。

完成した物をこうして見ると、結構ギリギリのバランスだったんだなと思います。
折り返し部分をカットしないでジャックを上に寄せていたら、相当アンバランスな仕上がりになっていたかもしれません。

このレイアウトにして正解でした。

スイッチのある上面。

LEDは常時点灯する仕様です。
通常時(スルー)は緑で、ループを経由すると赤くなります。

このLEDは緑と赤で輝度に結構な違いがあった(赤のほうが明るい)ので、それぞれ別の抵抗を用意してもよかったかも。


実際にエフェクターを繋いでサウンドチェック。

2系統に分けたパワーサプライの効果かは分かりませんが、アナログとデジタルのエフェクターを混在させても気になるノイズは出ませんでした。
これについては繋ぐエフェクターにもよるので、結論を出すのはまだ早いかもしれません。

機械式の宿命ともいえるスイッチングノイズも控えめ。
意識して聞こうとすれば「カチッ」と小さな音に気付く程度で、「ボンッ」とか「ボフッ」みたいなアンプに悪影響がありそうな嫌な音はしません。
これは8Y3011のおかげなのかな。

見た目も気に入っていますし(特に背面)、大満足な仕上がりになりました。

これをどう活用していこうか、楽しみが広がります。

それではまた。